都市の家庭菜園で野菜を作る時、気になるのが道路から吹き上がるホコリである。トマトやキュウリは簡単に洗えるのであまり気にならないが、レタス類にホコリが付いていると洗っても汚れが残っているのではないかと若干気になる。そこで収納ケース(衣装ケース)を栽培槽にして育てたらホコリが付かないのではと考えた。収納ケースに栽培ポットを入れる方式は以前からやっていたが、収納ケースそのものを栽培槽にして中で育てるのは初めてである。温室効果も期待できる。
写真の下段のように収納ケース式栽培槽にミックスサラダの苗をセットした。左に自動給水器(自動水位調整器)を設置し、水位が7センチぐらいになるように高さ調整してある。写真には写っていないがスチール棚の天井に貯水槽(蓋つきバケツ)を設置してあり、各段毎に自動給水器の台の高さを変えることにより、栽培ポットや栽培槽に適した水位調整ができる。
中は水道管用の塩ビパイプとT字パイプ、L字継手を使用して組んだヤグラの上に発泡スチロールボードを2枚載せる方式だ。ケースの下部に入水端子用につなぎGX-36を付けて、10センチの高さまでアルミ箔を貼っている。発泡スチロールボードには4カ所直径25ミリの穴を開け、周囲をアルミテープで巻きエラを付ける。エラはボードの取り出しやすさと、すき間からの光侵入防止のためだ。ヤグラの高さは8センチなので収納ケース側面からも光が入らないようになっている。ボードを2枚にしたのは、収穫時の使いやすさや、ずらして養液を直接入れやすくするためだ。
この収納ケース式栽培槽で重要なのは塩ビパイプのヤグラだった。水に沈み、一定の強度があって安い素材でなければならない。木材や通常のプラスチックでは水に浮いてしまう。そこで水道管用の塩ビパイプを使用することにした。塩ビパイプは水に沈み、接続用のT字パイプやL字継手などそれぞれ数十円で入手できる汎用品があり使えるなと気がついた。塩ビパイプのヤグラ部分で計600円ぐらいの材料費ですむ。収納ケースも600円ぐらいだったので、全部でも1500円以下の材料費で製作できる。
なおT字パイプの下の足パイプは野菜の種類によって長さ調整する。レタスなどでは省略してもよい。
パイプカッターは100円ショップで税抜き400円で売っている。塩ビパイプは1メートル2本をパイプカッターを使用して足4本と縦横のつなぎ各2本にカットする。そしてT字パイプ、L字継手を各4個使用して組み立てる。
さらに、この収納ケース式栽培槽のアブラムシ侵入防止対策を検討した。レタスが蓋まで伸びた場合、ケースと蓋の間にすき間があり、そこからアリなどが入ってくる。おそらくアブラムシも侵入してくるに違いない。すき間を密閉させたのでは空気が入らないので、空気が通すが虫は通さない不織紙を蓋の上から被せる方式を考えた。写真のように蓋よりひとまわり大きめに不織紙を切り、蓋に帽子のように被せた後に四隅をクリップで締めることで虫の侵入を防止する。
一年ほど使用してこの収納ケース(衣装ケース)式栽培槽にも欠点があることがわかった。不織紙をはずして長期間使用していたら蓋が太陽光で劣化し割れてしまった。収納ケース(衣装ケース)は屋内で使用することを前提としているので劣化しやすいプラスチック素材が使われているようだ。そこで2年目以降は屋外に使われることを前提とされている太陽光に強い「透明の波板」をカットし蓋として使用することにした。